先日、京都府舞鶴市での大相撲巡業中にある出来事がありました。

それは土俵上で挨拶をしていた市長が急に倒れた、ということです。

 

報道によれば、市長は「急性くも膜下出血」ということで、現在は容体は安定しているとのことでまずはひと安心ですね。

 

ただ、このときの報道で、救命に駆けつけた女性が土俵に上がった際の相撲協会の対応に問題あり、という論調が出ているのがちょっと気になりました。

今回はそのあたりについて掘り下げていきたいと思います。

 

女人禁制と女性差別は違う

今回の出来事は、おおまかには次の通りです。

  1. 土俵上で倒れた市長に対して女性客が救命救急にかけつけた。
  2. それに対して「女性は土俵から降りてください」という場内アナウンスが流れた
  3. 後日、土俵上に大量の塩が撒かれた

 

報道やSNSを眺めていると、この場内アナウンスに問題があるとみているようです。

 

「この対応は女性差別であり、諸外国から日本は女性問題では遅れているとみられて恥ずかしい」というような論調があります。

後から大量に巻いた塩については、「なにかを浄化するためだったのでは?」「それって女性差別なのでは?」という人たちもいます。

しかしこの論調はズレていると思うんですね。

 

確かに、救命救急の際には、後先構わず人命優勢である、という姿勢は大事です。

 

でもそもそも相撲は神事であり、その神事のしきたりを場内アナウンスは忠実に守ろうとしただけである、という部分を抜かして論じても仕方ないのではないでしょうか?

 

 

大相撲は神事である

大相撲は最近どんどんプロレス化して、たんなる格闘技とかスポーツのようにとらえる傾向にありますが、そもそもこれは神様を祀るための儀式です。

神様を祀るための儀式というのを「神事」というそうです。

 

「日本人はなぜ外国人に「神道」を説明できないのか」 山村明義 著 ベスト新書 の一部を引用します。

土俵上で力士たちが口につける「力水」は「禊」の意味を持つ「手水」そのものであり、「四股」は、地上にいる悪霊や禍事を踏みつける「祓へ」の意味を持ちます

引用 日本人はなぜ外国人に「神道」を説明できないのか 40ページより

 

つまり土俵上には相撲の神様がいるということになります。

 

その神様を祀る神事の中で、「土俵上は女人禁制」と決めたのであれば、それはすなわち決まりごとなんです。

これを「女性差別だ」というのは、神事の根底をそもそも覆す意見であることは明らかですよね。

 

 

本質は別のところに

日本には多数の「女人禁制」領域があります。

それは日本が多くの神様といつも同居しているからこその現れだと僕は思っています。

もちろんその成り立ちはいろいろあるでしょうし、その詳細を僕は知りません。

 

ただ日本でいうところのたくさんの神様、つまり「八百万の神」というのは、日本を取り巻く自然現象そのものであることはわかっています。

山の神がいれば海の神もいるし、もちろん土俵の神もいるわけです。

土俵の神というのは農作物の豊穣を願い、そして祝う神でもあります。

 

その自然とともに生きてきた中ででてきた「女人禁制」というしきたりは、たとえ世界がなんといおうとも守るべきものだと思うんですよね。

 

先ほどの文献には、世界遺産に登録された宗像大社の聖なる島「沖ノ島」に鎮座する「沖津宮」が女人禁制であることに関して次のよな記述があります。

 

ユネスコに「こういう女人禁制の島なんですが」と言ったら、まったくノープロブレムなんです。

〜中略〜

「そういうことをしてはいけないと神様が決めたんだろう。人間ごときが変えられるわけがない」って感じなんですよ。

引用 日本人はなぜ外国人に「神道」を説明できないのか 96ページより

 

 

つまり、神事と女性差別はまったく別物であるという見方を世界でも認めているということなんですよね。

世界は日本が思っているよりも、伝統というものに対して寛容であるということかもしれません。

 

であるなら、今回の出来事の本質はまったく別なところにあるのが見えてきますよね。

 

 

人命救助と神事は切り離して考えるべき

今回の出来事で、女性客がとった行動は命を守る行動で賞賛されることです。

そして、場内アナウンスをした方の行動も、神事を守る上で大切なことなんです。

また後日に大量の塩でお清めしたことも、その理由の如何に関わらず大切なことです。

 

すべてはこのとき、適切に働いていたんです。

 

そこの認識をまずは持つ必要があるのではないでしょうか?

 

そのうえで、今後は救命救急の経験のある医療関係者を協会が配置していれば済む話です。

 

救急法を学ぶことなら一般の市民でもできますので、男性であれば誰でもいいことにもなりますよね。

というかきっと、あの場面では男性客の中でもそのような経験・知識があった人がいてもおかしくないと思いますよ。

 

なのでちゃんと、そのような救命できる人員が配置されていることを明記しておけば、なにも慌てないで済むと思います。

 

ちなみに僕も。「元」医療従事者ですしもちろん救命講習は何度も受けていますよ。

 

マスコミやSNSでいろいろ騒いでいますが、みなさん惑わされないようにしましょうね。